フラガール |
私は、新人スタッフの教育方法を勉強するために、
東京で開催されている2泊3日のカイロプラクティックの基礎講座に参加していた。
参加者は実費を専門にされている方がほとんどで、柔道整復師は私だけだった。
手技練習のために私とペアとなった方は、50代ぐらいの男性だった。
その方は整体師で、
整体やボディケアなど実費の店舗を複数管理しているとのこと。
ここで勉強したことを帰ってから若手に指導しなければならないと言う。
技術を学ぼうとする姿勢はとても真剣だったが、
お世辞にも手技が上手とは言えないレベルであり、
むしろ手技をすること自体にも慣れていない感じだった。
それはご自分でも自覚されているようで、
東北弁で「もう、私がやるしかないのです」との言葉が印象的だった。
実際の店舗の経営状態について聞くと、
意外にも(失礼)、結構忙しいのだと言う。
一体、どんな場所でされているのか興味深くなって聞くと、名刺をくださった。
その名刺には「スパリゾートハワイアンズ」と記載されていた。
所在地は「福島県いわき市」とある。
私は内心、
「そんな寒いところにハワイアン?」
「そんなところにお客が来るのかな?」と思いながらも、
その男性のチャレンジする姿勢に敬服し、カイロ講習会を終えたのだった。
先日、何気なくニュースを見ていると、
この不況下、観光施設が次々と売上減少や廃業に追い込まれる中で、
長年に渡って着実に客数を伸ばし続けている施設があるという。
それが「スパリゾートハワイアンズ」というではないか。
昭和40年。石炭産業が衰退し、炭鉱の閉山が相次ぐ中、
炭鉱会社が危機を脱する苦肉の策として設立したのが、
「常磐ハワイアンセンター(後のスパリゾートハワイアンズ)」なのだそうだ。
そこで、私の8年前の記憶がよみがえって来た。
あのカイロ講習で出会った男性のフロンティア精神は、
「もうやるしかない」という状況の中から生まれたのだろう。
実際、ハワイアンセンター立ち上げの際には、様々な試練があったという。
その実話に基づいて映画化されたのが、映画「フラガール」である。
映画の内容は、
ハワイアンセンター設立のために、地域の炭鉱で働く女性たちを集めて、
全くのど素人からプロのフラダンサーに育成していく話である。
その過程での様々な試練を通しての人間模様が実に興味深い。
私は自然と、これからの整骨院業界を重ね合わせて観てしまった。
もし、自分がその状況下の中に居たら、どのような行動をとるだろうか?
そんな視点で、この映画を観賞するのもお勧めである。
観終わった後、「まだまだ自分の取り組みが甘いな」と感じると同時に、
新たな勇気をもらった映画であった。
機会があれば、是非「スパリゾートハワイアンズ」にも行ってみたい。