整骨院経営で最も重要なこと |
「利益のピラミッド経営法」における最重要事項は、
ピラミッドの最上部「プロフィット」に属する
「セーフティ(安全)&セキュリティ(保安)」という概念である。
具体的には、店舗と顧客の利益を守るための取り組みである。
現在の整骨院において最も重要なことは、院をつぶす危険因子の排除である。
いかに長年の歴史を誇る老舗であっても、
「吉兆」のように「食品偽装問題」などが原因で廃業に追い込まれるケースもある。
「雪印」や「不二家」のような大企業であっても同様である。
整骨院でも、昨今の「不正請求問題」で閉鎖に追い込まれるケースが急増している。
特に、最近では整骨院の監査対象となる「架空請求」と
「水増し請求」の調査と摘発が頻繁になってきている。
「部位数」の問題であれば、保険者との見解の相違の場合もあるかもしれないが、
日数の水増しに関する事実との相違は言い逃れができない。
九州に住む私の母も、近所の整骨院にお世話になっている。
正月に私が帰省した際に、その母が通院内容を「医療費通知」を見て確認していた。
私は思わず「通院日数は合っている?」とたずねた。
通院日数に間違いはなく「ホッ」としたが、「これは一目瞭然だ」と思った。
昔は、日数水増しに関して多少の見逃しもあったようだが、
最近の監査では、「日数の入力間違い」は通用しないようである。
また、交通事故における「水増し」の場合は、
損保会社の調査員によって水増しの事実が確定した時点で、
直ちに刑事告発となり、逮捕に至るケースも増えている。
「架空請求」は、治療した事実がない人に対して、保険請求をする行為である。
私は知り合った整骨院経営者の方に、
「架空請求はしていませんか?」と問うことがある。
すると「うちはあまりやってません!」という返事が返ってくることがある。
架空請求も量的に少なければ微罪として許されるような思い込みがあるのは否めない。
だが、法治国家において、小さくとも犯罪行為は検挙の対象となる。
昨今、社会的地位のある人が、小さな万引きや痴漢で逮捕されるケースが多発している。
整骨院の架空請求においても、
たった一人からの告発が発端となり事件となるケースが増えている。
ある整骨院経営者が、親しかった知人の保険証で不正請求を行い、
知人との喧嘩から、行政に告発され業務停止になった事例を見たことがある。
あまりにも常識的なことではあるが、
たとえ家族や従業員であっても、絶対に架空請求は避けるべきである。
従業員が顧客(患者)として、多くの店の中からその店舗(整骨院)を選び、
利用することは、店舗の繁栄する条件でもあり、とても良いことである。
しかし、従業員が治療したように装い、不正請求することは犯罪行為である。
さらに、従業員全体のモチベーションを最高に下げる要因となるだろう。
私自身は、善悪や精神論を唱えるほどの立場にはない。
ただ、「利益のピラミッド経営法」の観点に沿って述べているだけである。
整骨院経営の売上・利益獲得に取り組む前に、
「架空・水増し」という「不正請求」をチェックし、根絶することが、
経営を存続させるための「セーフティ&セキュリティ」という考え方である。