無資格施術とは何か |
「無免許で施術 療養費を搾取」と題して、
整骨院経営者および療養費請求者である柔道整復師の逮捕実名報道が載っていた。
整骨院の不正問題が、日経新聞の社会面に扱われるのは珍しい。
世間一般にも「無免許施術」が問題視されるようになってきた。
よく我々の業界内でも「無資格施術」が論じられるが、
ここで整理してみたい。
従来、有資格者(柔道整復・鍼灸・按摩)の中では、
これらの国家資格を取得していない者が、
施術をすることを「無資格施術」ととらえることが主流だった。
現に平成16年にマッサージの派遣業大手が、
マッサージ師でない無資格者を派遣したことにより検挙された。
しかし、昨今「無資格施術」として犯罪報道されているのは、
柔道整復師以外の者による施術を療養費請求することであり、
また鍼灸師以外の者による鍼灸施術である。
では「マッサージ行為(手技療法)」に関してはどうなのであろうか?
以前、このコラムでも読者の方から、
我々のセラピストによるフットケアに対して「無資格施術」との指摘があった。
(2008年10月18日)
この時はあえて反論は避けたが、
以前の我々もセラピストによる施術(手技)が、
果たして合法なのか違法なのかは判断できなかった。
だが、そこを明確にしておかなければ新業態を事業化はできない。
そこで、2007年の12月にお世話になっている弁護士に相談に行った。
そこで、手渡された資料が、
平成15年の「厚生労働省」の「内閣府ホームページ」だった。
厚生労働省の見解を見てみると、
整体やカイロプラクティックに関しては、
「民間療法として、人の健康に害を及ぼすおそれのない限度で
施術を行うことが認められているものです。」
と記述してある。
また、人体に危害を及ぼすおそれのある行為については、
「無資格者がこれを業として行っている場合には、厳正な対応を行うようお願いする。」
とある。
解釈は色々あるだろう。
弁護士の先生は、
「施術(手技)の行為自体に対する違法性の有無は断言できない」とのことだった。
だが、ホームページの文面からは、
「厚労省も国家資格者以外の施術(手技)を、実質的には容認したと受け取れるのではないだろうか」
とコメントした。
そこで、我々もセラピストによる新業態は合法であると判断し、進めるに至ったのである。
実際にボディケア・リフレクソロジーは、
今や新たな産業として大衆が認め、且つ利用しており、
また巨大マーケットとして成長し続け、有資格者の業界をもしのぐ勢いである。
さて、上記にある日経新聞の記事では、
無免許施術者の分を療養費請求した柔道整復師が「詐欺の疑い」で逮捕となり、
院経営者は「柔道整復師法違反」と「詐欺の疑い」で逮捕となっている。
私が学生の頃であれば、
専門学校の講師の先生の整骨院で、
学生インターンが研修を行うことが違法行為であるとの認識はなかった。
だが、時代は変化した。
今後は、学生インターンが整骨院で研修する際に、
保険治療の患者さんに触れることは、ほとんどできなくなるだろう。
したがって、即戦力となる卒業生も減少し、
よほど資本力のあるところか、
短期育成ができるところのみが、新卒を雇用するようになるであろう。
我々も今年度の人員採用は、
施術未経験の柔道整復師の採用を見合わせることにした。
いろんな意味で、
我々も固定概念の転換(パラダイムシフト)が必要である。
上記の現状を踏まえて違法行為および「無資格施術」をまとめると以下の4点になる。
①柔道整復師以外の者(無資格者・鍼灸師)による柔道整復施術
②上記施術を療養費請求すること
③鍼灸師以外の者(無資格者・柔道整復師)による鍼・灸の施術
④マッサージと表記しての無資格者施術(無資格者・柔道整復師・鍼灸師)
これらのことを踏まえて、
もし現状の自院の業務に法的な問題があれば、
セーフティ&セキュリティの観点から早急な対応が必要ではないだろうか。