実費治療法考察 ②「発展性」 |
前回、誰もができる「治療法ノウハウ」の3条件をあげた。
1.単純化されていること
2.標準化できること
3.競合との差別化(あるいは寡占化)できること
なぜこの3条件が必要なのか?
この条件がなければ、権限委譲ができないからである。
具体的にいえば「人に任せられない」のである。
「院長しかできない」では発展性がなくなってしまう。
しかし、ほとんどの治療法は、
3の「競合との差別化」は満たしても、
「複雑化」しており標準化できないものが多い。
特に「標準化」が一番のネックである。
「標準化」にも条件がある。
「道具・動作・手順」が統一されていることである。
徒手のみによる難解な治療法よりは、
特殊な道具を手順どおり使用することで、
誰もが一定の成果を上げられるものは発展する可能性が高くなる。
例えば特殊なテーピング療法や、特殊ベッドを使用する治療法などである。
オリジナルの道具を使うことで急速に発展した治療法として、
今話題の「加圧筋力トレーニング」がある。
これは上腕および大腿部の上部に、特殊なベルトを巻いて自動運動させることで、
軽い負荷でも筋力の増強が図れるというトレーニング法である。
また薬物の使用ではなく、成長ホルモンの分泌が得られるという利点もあり、
医療の現場のみならず、美容の分野でも注目されている。
私も、7年ぐらい前に「加圧筋力トレーニング」に着目し、
発展性を確信して指導者資格を取得した
(当時の資格所得費用は100万円程度。現在は400万円で医師のみ取得可)。
当時はまだ一般の認知度は高くなく、全国でも40人程度の指導者数だった。
現在では大きくマスコミにも取り上げられ、指導者数も数百人規模となり、
しかも東京大学内に研究室ができるほどにまで発展を遂げた。
「加圧」こそ、一定の効果を標準化できたからこそ成功したのではないだろうか。
その効果の実際は、本当に驚くものであり、
当院にも、他府県から「加圧」(30分4,000円)を受けに患者さんが来院されていた。
私は「加圧」に大きな将来性を感じて、指導者やインストラクターを4名養成した。
しかし前回述べたような見落としがあった。
その治療法の対象患者層が、
自分の院に合致しているかはよく検討していなかった。
確かに「加圧」希望の患者さんは増えた。
しかし、来患数の大半を占める患者層の増加にはつながらなかった。
むしろ、通常の治療時間に「加圧」を並行して行なうと、
オペレーション(業務)が乱れるため、結局休憩時間などに行なう羽目になった。
また、加圧の資格者の登録料や更新料などの維持費を換算すると、
部門別で黒字化するのは結構たいへんである。
だから、整骨院内で中途半端にやるのではなく、
「加圧」をひとつの独立した治療部門として立ち上げるぐらいの取組みが必要だった。
私個人としては、可能性を秘めた「加圧筋力トレーニング」を継続したかった。
しかし、当院における部門別管理会計上では不可なのであった。
私はやむなく「加圧筋力トレーニング大阪支部」と指導者資格を返上した。
しかし、これは失敗ではなく学びであり教訓となった。
その教訓とは、
「今やろうとしていることが将来のあるべき姿(ビジョン)につながるのか」
を考えなければならないということだった。
今は、個人的な健康法として「加圧筋力トレーニング」に取組んでいる。