料金設定の注意点 |
注意しなければならない点がある。
それは、単価設定と来院頻度についてである。
売上げの公式は、
売上=客数 × 客単価
である。
客数とは、患者さんの来院頻度であり、
客単価とは、治療費の平均単価である。
当然、料金を上げれば、来店頻度は下がる。
この二つは反比例の関係であることは理解できる。
ところが、ここで間違いやすいのは、
料金を2倍にした場合には、
来店頻度は半分(1/2)になるという単純計算的な考え方である。
単純計算的な考え方とは何か?
たとえば、1ヶ月に使う治療費が、
一回500円で週に3回来院し、月間12回で6,000円使っている場合、
・料金が1,000円の場合、月間6回来院で、5日毎の来院頻度。
・料金が2,000円の場合、月間3回来院で、10日毎の来院頻度。
・料金が3,000円の場合、月間2回来院で、15日毎の来院頻度。
・料金が6,000円の場合、月間1回来院頻度。
になるといったような考え方である。
一般的には、価格が上昇すれば、
購買(来店)頻度は、数倍単位(幾何級数的)に下がるとされている。
たとえば、平日500円の昼食を食べている人が、
1,000円の昼食であれば、食べる頻度は2日に1回になるか?
たぶん、週に1回あるかどうかではないだろうか。
6日に1回であれば、頻度は6分の一である。
では、2,000円の昼食ではどうか?
1ヶ月に1回食べる機会があるだろうか?
「治療と食事は違う!」を思う人もいるだろう。
ちなみに私は、月に1回ぐらいの頻度で、
個人的に治療としてマッサージを受けている。
60分4,500円である。
これが、5,000円ぐらいなら頻度は、変わらないかもしれないが、
1.5倍の7,500になったらどうするか?
そこのマッサージが、他にない特別な治療技術であれば、
治療の頻度が1ヶ月半ぐらいに下がるかもしれない。
しかし、そこまでも特色がなければ、
5,000円前後で、新しいところをさがすだろう。
結局、食事や治療も含めた生活習慣の中で、
それぞれの人が支払う価格を決めているのではないだろうか。
それは、一定期間ではなく、
1回当りの金額が適正であるかどうかである。
だから、単純に治療費が上昇したら、
来院頻度は、正しく反比例などはしないと考えなければならない。
下手すると、永久に来なくなる可能性もあるのだ。
では、なぜこのような誤った考え方になってしまうのであろうか?
それは売る側(提供する側)の論理で考えてしまうからだ。
あくまで買う側(利用する側)の視点で考えなければならない。
では、そのような視点を持つにはどうすればいいのか?
ただ、単純に素人(患者)視点で、
自腹を切って、色々な治療を受けることではないだろうか。
体が不調になったときに、
手軽に仲間内の治療ばかり受けていては、
患者側にとって何が良いのかが見えなくなるので注意したい。