実費導入考察③ 相手を理解する |
組合員に対して「整骨院には行かないように」との
通達を出しているところが増えてきている。
もちろん理由は多々考えられるし、分析することも大切だ。
コミュニケーションの手段として
最も重要なのは相手を理解することだと言われている。
健保組合は一体何を求めているのであろうか?
また整骨院は、健保組合をどれぐらい理解しているだろうか?
健保組合は、組合員の健康管理も重要な責務である。
特に今年度の医療制度改革の一環として、「特定保健指導」などが始まり、
生活習慣病の予防や改善のための対策が義務付けとなった。
同時に、健保組合に対して「特定保健指導」を支援するビジネスなども増えてきた。
以前、私は健康保険事業に関する勉強会に出席して驚いたことがある。
整骨院・鍼灸などの有資格者の中には、
リラクゼーションなどの無資格施術を認めない人も多い。
しかし、状況が厳しい健保組合自体であっても、
保険診療を利用しなかった組合員に対しては、
オプションとして、リフレクソロジーやボディケアなどの
リラクゼーションを提供しているところもあるぐらいである。
時代は変化し、組合健保も国家資格者の施設には「行くな」と言いながら、
組合員へのサービスとしてリラクゼーションを推奨しているのである。
この事実は客観的に認識すべきであろう。
組合健保も、ただ単に「整骨院に行くな」と言っているのではなく
「整骨院で、漫然と保険診療を受けるな」と言っているのである。
我々も保険診療報酬のみではなく、
「特定保健指導」などの生活習慣病予防などの分野にも、
業務範囲を広げることも実費導入のひとつではないだろうか。
たとえば、健保組合員が整骨院に行ったとしても、
保険診療以外の成人病予防対策などのサービスを利用するのであれば
通院は可能、もしくは歓迎かもしれない。
メタボリックや半健康体の人々に対しての、具体的な運動指導などは、
医師よりも柔道整復師の方が、むしろ得意分野ではないだろうか。
もはや「国家資格による国民健康保険制度の活用」などと、
奇麗ごとばかり言っていても、事業体としての存続は厳しい。
やはり整骨院も医療を考える一方で、
サービス業として顧客のニーズを理解し、
直接的にお金をいただくためのことも考えなくてはならないだろう。
言い方は悪いかもしれないが、
整骨院も今後を生き抜くために、
自分の強みを活かしたビジネスチャンスを
本気で模索しなければならない状況ではないだろうか。