実費治療院閉鎖 |
8月23日に立ち上げた実費院は
10月末日をもって閉鎖した。
今月、見学に来られた先生からの問い合わせもあったので、
ここに経緯を報告したい。
閉鎖の一番の理由は、
3ヶ月以内に損益分岐点(BES)へ到達する見込みがないためである。
当初オープンして翌月は、
実費のみで113万3千円の売上となった。
しかし、店舗の規模からすると損益分岐点は約150万円。
しかも目標とする標準売上が200万円だとすると、
初月度は1.5倍の300万円がなければ事業成立の見込みがない。
整骨院の場合は、売上が月ごとに上昇していくが、
実費を主体とするサービス業の売上曲線は下のようになる。
私も、当初は疑問を持ったが、
同じような曲線を描いたため、
原則どおり閉鎖(スクラップ)することに決めた。
また、もう少し先まで頑張ってみようとも思ったが、
現場スタッフの献身ぶりを見ると、
逆に申し訳なくなって早めの閉鎖に踏み切った。
もちろん、最後まで頑張ってくれたスタッフには
関連の整骨院で引き続き業務に当たってもらうようにお願いし、
嬉しいことに大半のスタッフが残ってくれた。
さて、今回の実費院の立ち上げについて、
我々が経営指導を受けている林俊範先生は反対されていた。
理由は以下の3つ。
1.立地が駅近ではあるが、2階であるため。
2.サービスの内容が単品であるため
3.世の中に知られざる商品であるため
特に3番目の「知られざる商品」を単独の専門店で売るのは、
あらゆる業種業態に関係なく、至難の業であるという。
また、林先生の見解では、「ふくらはぎケア」というのは、
単独での展開は厳しいが、整骨院の根幹となる基幹メニューに
プラスする実費メニューとしてはとても良いとのことだった。
私も素直に意見に従いたいところなのだが、職人気質が残っているせいか、
「良いものであれば必ず売れる」との思いから、チャレンジしたのだった。
もし、ここでチャレンジをあきらめてしまえば、
一生涯、事実もわからないままであるし、学習効果もない。
結果として店舗は閉鎖することになったが、多くの教訓を得ることができた。
得た大きな教訓とは以下の3つ。
①セラピストによる実費専門店は大商圏型であること
②実費こそマーケティング活動が生命線であること
③料金決定は、価格と来店頻度により統計的に決定するべきであること
いずれも、頭ではわかっているつもりだったが、
実際に多大な投資をして、痛い思いをしてようやく理解することができた。
今回は同時期に整骨院内でも導入実験を行ったのであるが、
同じ「ふくらはぎケア」であっても、
逆に整骨院内での展開の方は順調に伸びている。
専門店と違って整骨院の場合は、
外部への告知や、プロモーション活動をほとんどしていないのである。
以上の検証から、
やはり「ふくらはぎケア」は、
整骨院のプラスメニューとして適していると判断した。
林先生曰く「やっとポテトができましたね!」とのこと。
マクドナルドの利益の源泉は、ハンバーガーではなく、
実はポテトやドリンクなのだ。
実際に、整骨院における時間当たり生産性は、この数ヶ月大幅に改善された。
(人時生産性は全院が3,000円を突破できた)
これからは、整骨院をこの実費サービスとの複合形態で構築することにした。
まだまだ改善課題は多いが、
今回チャレンジしたことで新たな可能性も発見できた。
何よりも、実費サービスの導入で、
現場スタッフが目に見えて成長したことが最大の副産物だった。
来年度は、構築した仕組みをオープンにする計画である。