有資格者の強みとは何か |
「治療力」という人もあるが、
実際には、国家資格のない治療家でも、スゴ腕はいくらでもいる。
一方、資格を持っていても、お金の取れない腕前の治療家も大勢いる。
私が、かつてアメリカのカイロプラクテッィクをリサーチした際、
アメリカで出会った日本人すべてに次の2つの質問をした。
① あなたはカイロプラクティックに行ったことがありますか?
② (①がYESの場合)なぜカイロプラクティックに行ったのですか?
私はこの質問の答えは、
「痛みを治してくれるから」というものが大半だと思っていた。
しかし、一番多かった答えは意外にも、
「病院に比べて、安く診てくれるから」というものだった。
これは、西海岸でも、東海岸で聞いても同じだった。
アメリカには、ご存知のように国民皆保険制度はない。
だから、病院などでちょっと診てもらっても
200~300ドル(2~3万円)かかってしまう。
だが、カイロは一般的に70~100ドル前後(7千~1万円)だという。
ということは、彼らはカイロドクターの「診断力」を買っていることになる。
これは、準医師であるカイロドクターだから可能なのであって、
いくら腕が良くても、無資格治療家にはマネはができない。
先日の日経流通(MJ)新聞に、
「センセイマーケティング」というのが出ていた。
景気後退の中、商品を売り込みたい企業が、
幼稚園や病院の「センセイ」を通じて、
商品やブランドを売り込むマーケティング手法が広がっているそうだ。
具体的には、産科医にオムツや消臭スプレー等の試供品を渡して、
患者さんなどに渡してもらうという販促方法だ。
商品の情報氾濫で、選択に迷った消費者が増えている中、
最適な情報を選別して提供してくれる「権威」が必要になっているとのこと。
我々も実費の新サービスとして「ふくらはぎケア」を展開するに当たり、
林俊範先生に経営相談したところ、
「整骨院という信頼があるから売れるサービスであり、単独(専門店)では厳しいでしょう」
とのことだった。
素直さの足りない私はその意見には従わず、
整骨院内とセラピストによる専門店の両方で同時に展開を試みた。
そして、整骨院での利用者の方が圧倒的に多いという結果に終わったのだった。
直接的に施術をしなくても、施術者(センセイ)が薦めることで、
付加価値が感じられた結果だと推測した。
以上のことからも、有資格者としての強みは、
基礎医学も勉強して、厚生労働省が認める資格者であることの
「判断力」であるということも言える。
確かに、学校内でのテストや国家試験がなければ、
生理学や解剖学、病理学などを、試験対策ほど細かくは勉強しなかっただろうし、
逆に無資格者でも、近年の国家試験レベルまで勉強している人は少ないだろう。
その知識の部分は「権威」としてのプライドを持ってもいいと思う。
今後は、「治す」に加えて、
専門家としての観点から「おすすめ」も有効な武器になるのではないだろうか。
但し、「権威」や「信頼」を失わないように、
真に良いと思えるものを選別することが重要である。
私は大切な家族や友人に、
心底良いと薦められるかどうかを判断基準にしている。