「ピープルビジネススクール」開講 |
「ピープルビジネススクール」として
2009年2月8日から再開することになった。
2007年度は、関西圏においてテレビで毎週のように
「整骨院バッシング」が報道され、かつてない強い危機感を抱いた時期だった。
私自身も、保険診療報酬を主体とした経営法を提唱することに疑問を感じて、
経営方針を抜本的に見直すため、突然であったが経営塾を休止した。
(詳細は本コラム2007年8月9日参照)
勉強に来られていた先生方には本当に多大なご迷惑をおかけしてしまった。
そして、翌月から2008年上半期にいたるまでは、
いかに実費を導入するか、実験に次ぐ実験の繰り返しだった。
では、その実験で目的としたこととは何か?
それは「経営効率数値」の変化である。
具体的に変化させることとは、
「売上の増加」もしくは「収益の増加」である。
そのための方法としては、
客数(患者数)または客単価(治療費)をアップさせる、
もしくは、コストを下げるという方法しかない。
では、その実験で、うまくいかなかったこととは何か?
それは「施術者による実費治療」であった。
当院にも様々なレベルの施術者が在籍しているが、
保険治療の中心となっている施術者に、実費治療をさせることは、
全体の売上低下や収益減を招く危険性がある。
そこで、比較的若手の施術者に実費治療を推進してもらった。
しかし、一般的な手技の場合、
保険治療との違いを打ち出すことも困難であり、
単に時間の延長というような捉え方になりがちだった。
また、手技のバリエーションも豊富さが要求される上、
多少の実費が取れたとしても日に数千円が限度で、
経営数値を変化させるほどの影響力はなかった。
では、逆に実験でうまくいったこととは何か?
それは「女性スタッフによる実費サービス」であった。
この場合の「実費サービス」とは、
「施術」≠「治療」ではなく、
あくまで「施術」=「サービス」ととらえていただきたい。
女性スタッフにできる施術となると、
手技にはバリエーションを持たせることはできない反面、
既存の手技療法とは差別化ができる。
しかも、従来生産性を持っていなかったスタッフが、
1時間にたった2,000円でも実費施術が可能になると、
客単価も大幅に変化することがわかった。
考えてみれば、当たり前のことである。
施術者1人と女性スタッフ一人で、
平均単価1,500円の患者さんを、1時間に4人施術できるとする。
施術者だけで、この平均単価を2,000円にアップさせるのは容易ではない。
実際に、これまで施術者の手技力アップなど、
様々な取り組みをしてきたが、平均単価を上げることはできなかった。
しかし、女性スタッフが患者さんのいずれか一人に、
2,000円の実費施術を行なうだけで、平均単価は2,000円になるのだ。
私自身、施術者が稼ぐしか方法がないという固定概念があり、
恥ずかしながら、まったく気付いていなかったのが事実だ(思い込みは怖い)。
実際に女性スタッフによる実費施術を導入してみると、
それまで課題であった人時生産性(時間当り稼ぎ高)が
一気に3,000円を突破することができた。
大幅な売上アップではないにしても、スタッフの生産性が向上したことで、
固定費などのコストを大幅に掛けることなく、
確実に収益を確保することができるようになった。
このことから、これを標準化すべく下半期は開発に取り組んだのだった。
その経営法を今回「ピープルビジネススクール」の
学習材料として使っていくことにした。
これから悪化する経済環境と、競争激化の中での経営法としては、
売上と収益の両方をアップさせる「増収増益」は至難の業である。
売上の現状維持で収益をアップさせる方法、
あるいは売上が減っても確実に収益を確保できる
「減収増益」を検討する必要がある。
そのためには「人件費」の適正化と、
「生産性」をコントロールする経営の技術を学習し、実践しなければならない。
以前の「タオ経営塾」では、
「利益のピラミッド経営法」の概念が中心であったが、
今回の「ピープルビジネススクール」では、
「利益のピラミッド経営法」の実務を主体に学習していく方針である。