給料はいくら払えるか? |
相談されることが多くなってきた。
私も平成6年に開業して、
受付スタッフや施術者の給与決定に
ずいぶん悩んだものだ。
当時私は鍼灸学校にも通学しており、
クラスメートに大手化粧品会社の
人事課出身の方がいた。
私はその方に
「給与の決め方が全然わからないのですが・・」
とよく相談をもちかけた。
彼は
「労働分配率で決めたらいいよ」と教えてくれた。
「ろうどうぶんぱいりつ?」
初めて聞く言葉だった。
早速、
大型書店へ行って調べてみた。
人事・労務関係のコーナーの中に
「労働分配率」と載っている本があったが、
読んでみてもチンプンカンプンであった。
今考えてみれば当然であるが、
給与決定は「人事評価」の問題であるが、
給与総額を決める労働分配率は「会計問題」なのである。
2つは別々の分野になっているのだ。
給与の決め方はまたの機会にして、
今回は「人件費」を含めた
あるべき経費率(分配率)について考えたい。
前回、
粗利益に対する経費の割合が「分配率」
であることを述べた。
この「分配率」は、
業種業態にかかわらず、
経費の指標となる。
これを参考にすれば、
「人件費はいくらまでかけられるか?」
「新規店舗の初期投資はいくらまでかけられるか?」
が明確になる。
では、その指標を見てみよう。
(図をクリックで数字が明瞭化)
「あるべき形」が
一般的な指標である。
「効率項目」が
粗利益(整骨院なら売上の98%前後)
に対しての各経費率である。
「利潤分配率」は利益の率であり、
「労働分配率」が人件費の率である。
この人件費は、
給与だけでなく、
教育費や社会保険などの福利厚生費も含まれる。
人に掛かる一切の経費である。
一般的には38%前後であるが、
整骨院は一人当たりの生産性が低いので
当院では40~50%前後となってしまう。
しかし、
利潤分配率は他業種に比べて
設備投資も比較的少ないため、
現在のところ20%以上にコントロールできている。
ここを、
無理に38%以下にコントロールしてしまうと
長時間勤務や、福利厚生費の削減となってしまう。
今後、
長期間勤務する社員並みの待遇を目指すのであれば、
今は他の分配率を経営努力によって削減しなければならない。
将来的には
整骨院業種も生産性を上げて「労働分配率」を
適正な38%以下にもっていきたいところである
前回も提言したが、
売上・現金主義経営だと
ここがわからないか、できなくなってしまう。
だから、
毎月の損益計算書(P/Lコントロールシート)を
作成していただきたいのだ。
まず、税理士さんにでも相談すれば簡単である。
ただし、図の下にあるように
「管理会計」としての書式である。
作成フォームについては、いずれホームページ上にデータを公開する予定である。
さて、
良くある質問が、
家賃の適正についてである。
これは「設備分配率」を指標にしていただきたい。
「設備分配率」は
家賃、初期投資における減価償却費、
リース料などを含めた設備一切の率である。
初期投資や設備は5年で元を取る(償却)と考えて、
いくら掛けられるかを算出していただきたい。
5年で予測される粗利益額の18%までは投資できるのだ。
これを知れば、
たとえ家賃が高くても、
保証金や内装費が安ければ問題はない。
要は、設備総額が18%以下になればいいのだ。
現在は、保証金が低下しており
出店は逆にチャンスかもしれない。
ここを知らないと、
楽観的な大盤振る舞いの初期投資をして
売上が上がっても、利益が残らなくなったりする。
多いのが、家賃ばかりを気に掛けてしまうことだ。
大家さんとの交渉でも「家賃交渉」は中々減額が困難だが、
保証金などは案外交渉可能である。
家賃を下げなくても、
「設備分配率」が下がればいいのである。
以上簡単に分配率について述べた。
難しそうだが、
慣れれば簡単に経営上の問題が発見できて、
解決できるようになる。
慣れるまでやり続ければ良いだけで、
治療を極めることに比べれば
よっぽど簡単なのだ。
しかし、ここから逃げて良い経営はできないのも事実だ。
まずは、
経営者向けの入門書などを使って勉強してはいかがだろうか。
下記は、私もよく読んだお勧め本である。
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『ピープルマネージメントセミナー「タイムマネジメント」』
1日8時間 週40時間労働で成果を出すノウハウとは
・2009年9月20日(日)梅田会場
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『ピープルマネージメントセミナー「プロフィット」』
整骨院における利益確保
・2009年9月27日(日)東京会場
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