「施術の質」を高める ~人時生産性の向上 |
「人時生産性」で捉えることは前回述べた。
その「人時生産性」を
上げる方法について考えたい。
まず考えていただきたいのが、
「治療技術だけで数字が上げるのか?」
ということである。
10年以上の治療経験が豊富な施術者であっても
ある時を境に「人時生産性」が下落することがある。
下落の原因は、
施術者の「治療技術」が下落したからであろうか?
長年かけて身につけた
治療における知識や技術が
簡単に低下することは考えにくい。
いつもと同じ治療を行なっているのにもかかわらず、
治療効果や来院患者数が思ったように伸びない
という経験はないだろうか。
治療技術とは別のことが数字に影響しているのだ。
それは何か?
精神状態や健康状態など
様々な要素が関連していることが考えられる。
我々が
院および施術者の「人時生産性」を
向上させるために指標としているものがある。
それが
「利益のピラミッド経営法」における
リーダシップの前提条件「プレコンディション」というものである。
これは以下の3要素で表される。
① 自己管理
② 時間管理
③ アピアランス
①自己管理とは
自ら数値による目標を設定し、
自らの変革によって数字を向上させるスキルを表している
②時間管理とは
やるべきことの優先順位を決めて
それをスケジュールに落とし込むスキルだ。
③アピアランスとは
「身だしなみ」という意味だが、
人に対するコミュニケーションスキルを表している。
これは
店舗を運営するマネジャー(院長)の条件でもある。
私も過去、
治療経験だけで分院長を任命し、
ずいぶんと手痛い失敗を繰り返してきた。
今は断言できるが、
どんなに治療経験が豊富でも、治療が上手であっても、
この3条件が欠ける者に院長は務まらない。
施術者も同様である。
もちろん治療技術の向上は絶対条件だが、
この3条件の問題点を改善していくことでも数字は変化する。
たとえば
患者に対するコミュニケーションに問題がある施術者は
どんなに素晴らしい治療法を学んだとしても
数字は上がらない。
逆に
コミュニケーションが改善できれば
「人時生産性」は上げることができる。
また、
時間にルーズな施術者の場合には
時間を守ることを徹底させるだけでも
「人時生産性」は上がる。
複数の施術者がいる場合には、
個人別に不足する部分を見つけ出すことが重要で、
各人の問題点を改善することが
施術の「人時生産性」向上となり、
院の来患数を増大させることができるのだ。
生活の問題も大きく影響する。
ある時、
基本的な治療技術もあり、
コミュニケーション力もある施術者の「人時生産性」が
どうしても5,000円を突破できないでいた。
私もその原因がわからず不思議だった。
あとでわかったことだが、
その施術者は家庭の事情で
業務終了後に家族の飲食店を手伝っていたのだ。
その店の経営を立て直すために
仕事をやめて全面的に手伝う決心をし、
1ヵ月後の退職を申し出てきた。
その翌週から
彼の「人時生産性」はアッという間に
5,000円を越え、6,000円に迫る勢いとなった。
いかに
精神面や身体面のコンディションが
治療や仕事のパフォーマンスに影響するかを痛感した。
施術者の「人時生産性」を高めるためには
「治療技術」の向上と同時に
「プレコンディション」の向上を図ることで成果は上がる。
これはスポーツ選手のマネジメントと全く同様であり、
院長にはチーム監督の役割が要求されるのだ。
我々が運営しているタオ整骨院には
カリスマ的な治療家は一人もいない。
皆、普通の平凡な施術者ばかりである。
その彼らが
自ら目標を設定し、
自分の「人時生産性」を毎週チェックし、
自ら改善を図ることで成果を出すことができるようになった。
その結果、
7割以上の施術者(柔道整復師)が
「人時生産性」5,000円以上を維持できている。
(人時4,000円以下は新人)
この手法は
「ウィークリーマネジメント(Weekly Management)」
と呼ばれるもので人財の育成には非常に効果的である。
月単位の改善では年間12回しか改善できないが、
週単位であれば、年間52回という、
かなり緻密なスモールステップ(小さな階段)で改善が可能である。
当院のスタッフも皆、
自分自身の現状を把握し、
治療技術およびプレコンディションについての
問題点を発見し、ひとつひとつ改善しているだけである。
もちろんノルマや数字の強要もないし、
数字による歩合制もない。
これらの数値は
あくまで経営の指標であり、
数字を給与や待遇に直結させないようご注意願いたい。
まずは
施術者の「人時生産性」による目標設定し、
週単位での改善を実践されてはいかがだろうか。
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