教育問題② 専門知識を覚える方法 |
<質 問>
私は医師ですが、新人医師の教育の際、オンザジョブトレーニング以外に、
専門知識(医学書に書いてある知識)を覚えさせるのに苦労することが多いです。
何か良い方法、工夫はありますか?
(具体的には本を読んで覚えさせる必要があります)
<考 察>
教育には3種類ある。
OJT(オンザジョブトレーニング):現場での実技訓練
OFF.JT(オフザジョブトレーニング):現場を離れての理論勉強・集合教育
セルフトレーニング:自発的な勉強、自己育成
一番教育効果があるのはOJTで、教育効果は7割といわれている。
集合教育は、実際は2~3割で、意外と効果は少ない。
また、最も大切なのはセルフトレーニングであり、
これが職場の文化となることが理想である。
しかし、難しいことに人間は必要性がなければ勉強をしない。
先日、歯科医院専門の設計士の方とお話したのであるが、
日本の医学の問題点は、欧米のような免許更新制度がないことではないかと言われていた。
更新がないから、勉強もせず、古い技術と知識で治療し続ける人がいるというのだ。
これは整骨院のみならず、医療全体に言えることなのであろう。
したがって、職場であれば、昇格のための筆記試験および、実技試験があり、
その評価が職位や報酬に連動していることが必要ではないだろうか。
また、覚える(記憶)方法としては、ただ単に本を読むだけでは困難である。
本当に覚えて、記憶として落とし込むには、潜在意識下に入れる必要がある。
方法として「書く」「読む」「話す」という方法がある。
自分で書いた文章や図なりを、人に説明すれば、格段に記憶できる。
実際に、手や口の筋肉を使う方が、効果的だとされている。
当院でも、技術チェックは患者さんへの実践形式(ロールプレイ)で、
自分で書いたもの(図)を使って、説明をしてもらう方式を導入しているところである。
ただ、いくら方法が良くても、本人にやる気がなければ効果はない。
一番の方法は本人が興味を持つ方法を教える側が工夫することである。
そのためには、教える側が学習内容に対する圧倒的な情熱がなければならない。
治療でも経営でも、「すごいだろ!」「これってわかるか!」といった熱さのようなものだ。
先月、漫画「ドラゴン桜」のモデルの英語教師・竹岡広信先生の講演を聞いたのだが、
まさにこの熱い感じだった。
英単語一つ一つの、語源にさかのぼり、意味などを面白く覚える方法を工夫されていた。
要するに「教育」とは教わる側が 成長するのだけででなく、
教える側が、最も成長するのである。
だから、育成したい人財には、
人の教育を担当させるのが最も効果的な教育方法である。
「利益のピラミッド経営法」とは、教育の連鎖というすばらしい経営法である。