マスコミの恐ろしさ |
上海から間一髪で帰国することができた。
中国への渡航では、行く度に多くの発見や学びがある。
同時に、今回の滞在中ずっと頭の中にあったのは、
整骨院の不正請求報道についてである。
ここで思い出すのが、
マスコミの恐ろしさについてである。
「利益のピラミッド経営法」を指導してもらっている中で、
「絶対にマスコミに出てはいけない」という指南がある。
一旦、マスコミに標的にされるとつぶされるか、
殺されるまで攻撃される恐れがあるという。
数年前にそれを聴いた私は、ピンと来なかったが、
今にして思えば、標的にされた人物や企業を考えれば納得ができる。
現在、中国では練り歯磨きから
毒性物質のジエチレングリコールが検出され問題になっている。
強気の中国は当初、「人体に問題ない」として対応しなかった。
しかし、そのような無責任な態度が、
世界全土で中国製品の不買運動に発展しそうな気配になり、
急遽、ジエチレングリコール使用の練り歯磨きの生産と輸出を全面的に禁止すると発表した。
中国の強気の姿勢を変えるぐらい、報道の影響力は大きいのである。
では、我々柔道整復師や整骨院という業界はどうであろうか?
一般生活者の体の痛みなどに、保険を使って治療することで、
多くの人々に貢献している立派な業種・業態である。
九州に在住している私の母も長年膝が悪かったのだが、
近所の整骨院にお世話になり改善し、とても喜んでいる。
地域医療に貢献している整骨院も無数にある。
元来接骨院は柔道家の「骨を接ぐ」とういう特殊技術が
発展したもので、国民の生活に貢献してきた。
しかし、ライフスタイルの変化や整形外科などの台頭により、
治療サービスの内容を変化せざるを得ない状況になってきた。
それに対して行政や制度の変更が追いつかず、
次第に矛盾を生じるようになってきたことは確かである。
しかし、ここで注意しなければならないのは、
我々が権利を主張したり、反論すれば
マスコミの格好の餌食になりかねないこともある。
マスコミが、本来目的にしていることは何か?
なぜ、シリーズ化されるのか?
一連の報道は、関西圏だけの番組であるが、
全国に飛び火する可能性もあるだろう。
今は、整骨院として地域の方々に、
誠実に治療で貢献していくしかない。
逆に、世間から「整骨院がなくては困る」という存在、
すなわち社会的インフラとして認知されることでしか、
生き残りの道はないのではないだろうか。
かつて戦後の日本医師会会長をつとめ、
厚生省官僚との徹底的な対決をも辞さない姿勢から
「ケンカ太郎」とまで言われた武見 太郎氏が、
柔道整復師の業務内容を健康に貢献するような内容に
変更してはどうかと提案したことがあるそうだ。
やはり偉い人は、先見の明があるのだ。
残念ながら当時の柔整業界はそれを拒否したそうだが・・。
後悔先に立たず。