社会構造の変化 |
整骨院に関する記事が出ていた。
見出しは「接骨院・整骨院、保険対象外も請求? ケガ数など不自然」
概要は以下の通り
『接骨院や整骨院で柔道整復師の治療を受けた患者の
2人に1人が3カ所以上のケガをしていたとして、
健康保険の請求が行われていることが厚生労働省の調査でわかった。
1人あたりのケガ数が不自然なほど多く、
「保険のきくマッサージ施設と勘違いしている利用者を、けが人として扱い、
不正請求する柔整師が多いことをうかがわせる」との声が業界内からも出ている。』
そして、3部位の請求が多い府県別グラフと、
年々増加する柔道整復師数のグラフが示されていた。
代表的な全国紙の日曜日版が、一面トップで報じているのである。
これは、健康保険制度上での整骨院の存在を、
問題提起しているのであろうか。
いずれにしても、
新聞の記事内容であるから、事実に基づいて構成されている。
しかも、厚労省に情報公開請求までしてのことである。
前回は市場における整骨院のあり方を認識し、
今後、市場の変化を予測する必要性を述べた。
今回の記事は整骨院に対する「市場」の捉え方とは違い、
「社会的」な捉え方をあらわしている。
本文には
『本来、柔整師の保険請求が認められるのは、
骨折、脱臼、ねんざ、打撲、肉離れだけで、肩こりや、加齢による腰痛などは
請求できない。しかし、保険対象外の肩こりや腰痛をねんざと偽って
不正請求する例が後を絶たない。』
とある。
確かに、初診時から受傷原因のない明らかな肩こりを治療することは良くない。
しかし、最初は捻挫で来院されていた患者さんが、
症状が改善する段階で主訴が変化し、次第に腰痛治療に移行する場合もあるだろう。
今後は、患者さんに正しい受診方法を認識してもらうための
コミュニケーションスキルをさらに向上させる努力が必要だろう。
この記事は、柔道整復師の概念についても以下のように解説している。
『〈柔道整復師〉 「ほねつぎ」とも呼ばれる。日本古来の技法で、
柔道などでケガをしたときの処置として発達したとされる。医療を補う行為とみなされ、
1936年、柔整師による保険請求が認められた。「当時は整形外科が未発達で、
柔整師の治療を選ぶ人も多く、患者の利便性を重視した」(厚労省)。
3年以上の専門教育を受け、国家試験に合格すれば開業できる。
06年末現在約3万8700人。』
そして現状については以下のようにも書かれている。
『骨折、脱臼の保険請求には医師の同意が必要だが、
ねんざや打撲は必要なく、請求はこの二つで99%を占める。』
かつて整骨院も、整形外科が少なかった時代には
「ほねつぎ」として重宝されていた。
それが時代背景や社会構造の変化により、社会的な存在価値にも変化が生じた。
どのような業界においても、社会構造や制度上の変化はある。
その中で、客観的に自分の存在位置を確認し、
迅速に変化対応することが必要だ。
具体的には、自社の強みを活かして、
新たに社会的な価値創造をしたところのみが
生き残っているのである。
「整骨院」といっても、
院によって様々な「強み」がある。
それをどのように活かすべきかを
本気で考える時期が来た。
これを「不運」と捉えるか「チャンス」と捉えるかは、
全て「UP TO YOU!(あなた次第!)」
である。