市場予測③ 「カイロ・整体・ボディケア市場」 |
「リフレクソロジー・ボディケア市場」について分析したい。
保険診療主体の整骨院が、
実費治療を導入する場合の傾向性として、
やはりこの2つの市場に二極化されるのではないだろうか。
「治療系」か「リラクゼーション系」である。
どちらを選ぶかは経営者判断になるが、
まず既存の市場の実態を知ることが重要である。
市場情報は前回同様に
「ハンドトリートメント市場の展望と戦略(矢野経済研究所)」
を参考にしたい。
ハンドトリートメント市場全体は現在も拡大を続けており、
市場予測でも今後成長が見込まれている。
しかし、「カイロ・整体市場」と「リフレクソロジー・ボディケア市場」
ではそれぞれ異なった見方がされている。
それぞれの市場分析を見てみると以下の通り。
<「カイロプラクティック・整体」市場>
1.市場動向
民間資格が乱立、法的根拠がない資格であり、技術のばらつきが実情(日本)。
市場は横ばい状態であるがカイロ自体は国際基準ができ、再び注目を浴びつつある。
個人事業がほとんどで、経営視点を持ったところと欠如したところで二極化が進みつつある。
2.市場規模推移
2003年1,870億円、2004年1,873億円、2005年1,875億円
一定の需要は確保しているものの、民間療法であること、他のハンドトリートメント市場との
競争が激しいこと、玉石混交の業界であること、などから今後も市場はほぼ横ばいである
3.現状の問題点と課題
①統一した資格制度がないこと。法制化されていないため施術者のレベルの高低を問わず、「カイロプラクター」と自ら名乗ることができる。
未熟な民間資格を得た施術者による頚椎の事故などもあり玉石混交といって良い状態。
業界における資格制度の確立必要。
②イメージが良くない。ボディケアなどが市場から受け入れられている一方で、
カイロ・整体は、未だに雑居ビルの一室に店舗を構え、価格も不明瞭である場合が多い。
イメージの改善と心理的障壁を低くする努力が必要。
4.今後の市場見通しと市場規模予測
「カイロ・整体市場」は一定の需要は確保しているものの、民間療法であること、
他のハンドトリートメント市場との競争が激しいこと、玉石混交の業界であること、
などから今後も市場は横ばいで推移すると見られる。
<「リフレクソロジー・ボディケア」市場>
1.市場動向
イギリスにおけるリフレクソロジーは科学的・医学的な検証や承認を経て、
通常の保険医療にも組み込まれており、ホスピスなどの緩和ケアなどにも貢献している。
日本における市場拡大のきっかけは㈱RAJAである。
ボディケアも、1990年半ばからサロン名「てもみん」「リラックス」「ラフィネ」などの参入に
より市場は形成され拡大した。
2.市場規模推移
2003年1,365億円、2004年1,500億円、2005年1,600億円
都心部の店舗展開、清潔で入りやすい店舗、顧客視点に立った丁寧な顧客対応、
短時間か ら利用できる手軽さ、明瞭な料金システムなどから「癒し」を求める消費者に
支持され急拡大 している。
3.現状の問題点と課題
①統一した資格制度がないこと
②玉石混交の業界であること
③エビデンスが確保されていない(日本では)
4.今後の市場見通しと市場規模予測
現在、一定の認知度は得ている。しかし、まだまだ市場や顧客の開拓余地は残している
こと から、以前のような伸び率は見込めないものの、今後も順調に拡大すると見られる。
以上がカイロ・整体と リフレ・ボディケアにおける市場情報である。
前回も述べたが、実費治療導入におけるポイントは、
「自社のおかれた競争環境を多角的に理解し、自社の強み・弱みを
分析した上で、本格的な『選択と集中』が成功の条件」
である。
特にカイロ・整体という市場自体は横ばいであることから、
すでに成熟しているかもしれない。そこでの参入は容易ではないだろう。
だが、チャンスもあるかもしれない。
今回2つの市場を見たが、ともに共通の問題点がある
・資格制度が統一されていない
・玉石混交であること
一般的には「整体」と「整骨院」の区別がつかない消費者はかなりいるが、
柔整・鍼灸などの国家資格を有することは強みになるかもしれない。
また治療系の場合は、顧客視点に立った店舗作りやサービスによっても
新たな可能性があるとも言えるのではないだろうか。
いずれにしても、
「現在の自分の強み」は何か?
また、
「自分の弱み、今まで手を抜いてきたこと」は何か?
を分析し、
どの部分に「選択と集中」すべきか?
どの市場に切り込むことが妥当であるか?
を熟慮しなければならない。